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Kaz3

Author:Kaz3
1955年3月生まれ
(A型/魚座)
自称ロマンチスト

今さらながらの出会い、
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送電鉄塔に見た浪漫……(再)

 例年7〜8月、年1回発行の刊行物の制作依頼がこの辺りに集中し、忙しくなる。仕事自体はちっとも嫌ではないが、家にいての仕事漬けの状態が2週間3週間と続いて来ると、さすがに……である。
 だが不思議なもので、忙しく仕事をしていても合間には必ずといっていいほど、何やらの中途半端に閑な時間(?)が出来る。「忙中閑あり」とはよくいったものだ。
 そういう時間にブログの原稿を、と思わないわけではないが、無理に書こうとしても、どうも仕事の延長的な気分に襲われ、書くことを楽しめない。結局は閑な時間ができると、朝の二時間、あるいは午前中だけ、などと限定しつつ散歩・散策へと外出。するとそこで、ブログにアップしたくなるような種がまた見つかる。だけれど、帰ってからは仕事を優先させなければ、依頼してくれている人に申し訳ないわけで……という具合。アップできない中途半端な原稿と写真が溜まってしまっている。

 と、まあ、そんな具合でそうこうしている内に、7月8月の夏の盛りが過ぎ、9月も半ばになってしまった。このままブログの更新をずるずると先延ばし……というのもちょっと癪である。
 というわけで、前回に続き、閉鎖になった前のサイトに掲載していた中からちょっと気に入っていた内容のものを、リメイクして、アップすることした。



008_p01.jpg


 いきなり送電鉄塔の写真……。

 一昨年、私の出身校である秋田工業高校の先輩に仕事を頼みたい旨の話しをされた。先輩が社長をする会社の、業務案内の制作、というのがその仕事のテーマ。
 これまでさまざまな業種の販促媒体を手掛けてきている私である。業務案内を制作すること自体には何の心配もないが、ポイントはその対象。それは初めて手掛ける分野のものだった。
 まあ、手掛けたことのない業種や分野が対象であっても、客先から提供される資料を読み込んで大まかに理解し、担当者と調整しまとめ、あとはデザイン的配慮で質を高める、という流れで、さらーと終わらせる(実際はそれほど簡単でもないが……)ことはできる。それで仕事としては何とかなる。しかしながら今回の対象に対しては仕事だけではない興味が、少しばかり湧いてしまったようだ。

 回りくどい前置きをしてしまったが、その対象というのが、送電鉄塔、なのである。

 仕事のGOはまだ先、のようだったが、デザイン屋の性(さが)とでも言ったらいいか、今までまったく関与したことのない対象を提示されたことに、少し余計かとも思える興味の虫が、俄然あちらこちらから湧いて来て、意識の中に、送電鉄塔、というキーワードが強く放り込まれた。

 送電鉄塔はずっと昔から見慣れたはずのものであった。だが意識していろいろと見ていくうちに、何も知らない、何も見ていなかったも同然の存在だったということに、改めて気づかされた。

 例えば単純な話としては、送電鉄塔の形。

▼ 送電鉄塔の形のいろいろ
008_p02.jpg

 業務案内に使えればと、後に先輩から渡された送電鉄塔の写真データの中から特徴的なものを抜粋したもの。もちろん、この他にもいろいろな形のものが写真の中にあった。
 これまでもおそらくは目にしていたのかもしれないが、こんなにいろいろあることに改めて気づかされた、というのが正直なところだ。
 昨年、所用で武蔵境から中野へ向かうために久々に乗ったJR中央線。その途中の阿佐ヶ谷−高円寺間で、左下写真のものと同じタイプの白に塗られた送電鉄塔が、中央線にクロスして連なっているのを見かけ、思わず目を凝らしたが、多少なりとも送電鉄塔への興味を持ち合わせていなければ、おそらく見過ごしていたのだろうと思う。
 ちなみにこのタイプは、環境調和型鉄塔(美化鉄柱)というもので、周囲の景観に配慮して建設されるものだそうだ。写真は、浦和レッズの本拠地、埼玉スタジアムの脇にあるもの。

 以前からその必要性や機能性などは認識しているつもりではあったが、どちらかといえば、送電鉄塔や送電線は良い景色を邪魔する野暮の骨頂、と思う方が少し勝っていた。もちろん、今でも、場合によってちょっと邪魔、と思うこともないではないが、現金なもので、興味の鉾先が向けば、嫌いに近かったものも好ましく思えるようになるようだ。
 きっかけは、先輩からの仕事の話、なのではあるが、送電鉄塔をサイトでいろいろ調べていく中で偶然見つけた送電鉄塔に関する面白い話、それが仕事とは別な興味を強くさせる要因になった。

 世の中多かれ少なかれ、どんなものにもマニアあるいはフリークと言われるような人たちがいる。鉄塔にも「鉄塔マニア」なる方々がいて、サイトではそうした方々の鉄塔見聞記録などをたくさん見ることができる。
 その「鉄塔マニア」の方々にとって、ある種バイブル的な本があるという。
 銀林みのる という作家さんの書いた小説「鉄塔 武蔵野線」という題名の本で、第6回日本ファンタジーノベル賞(1994年)を受賞、1997年には映画として公開されたそうである。
 「鉄塔 武蔵野線」の武蔵野線は、送電線の経路線名であり、その重要な舞台の一つとして、武蔵野変電所、が登場する。

 武蔵野変電所は西東京市北町四丁目に実在する変電所である。敷地にある桜が見事で、地元の人にとっての桜の名所ともなっている。自宅から徒歩15分程度の場所ということもあって、私も毎年満開の時期には必ず足を向ける。またこの近辺はいつ行っても何やらの良い風情を見せてくれることから、私の好きな散歩コースの一つにもなっている。

▼ 武蔵野変電所ゲート
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▼ 敷地内の桜
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 自分の生活圏である身近にこういう場所などがあることを知ったりすると、益々興味は強くなるものである。(周辺景色は4/20アップの「春・第一幕……に、見たくなる景色」で紹介)

 「鉄塔 武蔵野線」は、送電鉄塔に魅せられた少年が、夏休みにその送電鉄塔の経路(路線?)を鉄塔に付けられた番号順に辿り、大本の発電所(原子力発電所らしい……)を目指して冒険に出、その途中でさまざまな出来事に遭遇……というのが話しの大筋。
 「鉄塔マニア」を自称している人たちのサイトを拝見すると、主人公の少年と同じように、送電鉄塔○○線(武蔵野線とは限らない)を番号順に辿り、ここはマニアの面目躍如、途中の変電所の特徴や分岐点における様子などをこと細やかに紹介したりしている。何件か拝見したがこれには感心……だった。

 私はさすがに「鉄塔マニア」の仲間入りはできないが、身近にありながらこれまで意識することのなかった送電鉄塔に様々なストーリーが存在し、そこにある種の浪漫を感じられたことには、何やらの面白さや嬉しさを感じている。


 昨年の夏前、仕事がGOになった。具体的な打合せの前に、改めて送電鉄塔をじっくり見ておきたくなった私が向かったのは武蔵野変電所。できる範囲で見て回った中、他にすごいなと思うものもあったけれど、私が一番気になった送電鉄塔は、武蔵野変電所のすぐ近くにあるものだった。

 距離を取り、安デジカメで全体像をパチリ。その時撮ったのが冒頭にも入れたこの送電鉄塔の写真。

▼ スリムな体躯で力強く送電線を支える送電鉄塔の姿
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 何と言うべきか……、うまく言葉にできないが、改めて見て、送電鉄塔はすごい、と単純に思った。

▼ 送電線の向かう先/左下の鉄塔群の辺りが武蔵野変電所
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 この鉄塔、左右に走る送電線と向う側への送電線を支えている。何万ボルトの電気を送電するためのものかは分らないが、そこらで見かける電線とは桁違いの何トンもの重量があるであろう送電線を支えているはずである。しろうとである私でも、その立ち姿に見る構造が、なぜこういう形なのか、いかに強固に設計されているか、一目で理解できる気がする。
 詳しくはわからないが、高さにしても電気が通電すると起きる電磁波などの影響を周辺に及ばさせないための高さ、というものが計算されているのだろうということは想像できる。

▼ アップで見る送電鉄塔の複雑な配線はある意味きれいだ
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 高く、そしてスマートに見えながら実に強固そうな構造。こうした立ち姿を改めてじっくり見ただけでも、「鉄塔マニア」なる方々が鉄塔に魅せられる理由が理解できる気がする。


 8月(昨年)、印刷の工程までを終え、業務案内の制作は終了。業務案内に入れる対象(送電鉄塔)を象徴する写真には、先輩の会社の皆さんにも賛同いただき、冒頭及び上記掲載の送電鉄塔を写した写真を使用した。専門の方々が見ても、私が気になった送電鉄塔は、“良い” そうである。


 最後に、散歩・散策、あるいはちょっと外出した時に目にし、自分的興味で撮った、送電鉄塔のある風景、の写真を列挙し、この項を終わることにする。。

▼ 武蔵野側から都心へと向かう送電線を支える送電鉄塔の連なり/武蔵境から
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▼ 山の方向に連なる送電鉄塔、向こうが発電元だろう……/武蔵境から
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▼ 富士山を背景に……/三鷹・杏林病院より
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▼ 田んぼを走る送電線と送電鉄塔/川越・南古谷にて
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▼ 黒目川沿いに見る送電鉄塔/新座市堀之内辺り
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▼ 送電経路線が複雑に走り、まるで送電鉄塔銀座/新座市堀之内辺り
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 おそらくこれから、送電鉄塔を見るたびに何らかの感想を持つのだろうと思う。散歩、散策好きの私にとっては、こうした気づきが一つづつ増えていくことが、何よりも……なのである。


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